【例文あり】浮腫の看護計画(OP,TP,EP)の具体例と書き方のコツ

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看護計画の見本・書き方

紙上事例や、看護実習で浮腫の患者さんを受け持った時の、看護過程の展開について、まとめていきます。


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浮腫について知っておくべき内容

浮腫の看護過程を書く前に知っておきたい事

浮腫ってどんな状態?


毛細血管内腔から周囲の皮下組織に間質液が過剰に貯留した状態

日本臨床検査医学会

浮腫のメカニズム・機序

  1. 低タンパク血症→血管内タンパク質の濃度低下する
  2. 毛細血管圧が上昇する
  3. 血管透過性が亢進する→毛細血管がタンパク質や水分をどんどん通すようになる

これらの理由によって、

毛細血管圧と浸透圧のバランスが崩れ

ことにより、

毛細血管内から皮下組織に間質液が貯留する→(浮腫発生)

↑関連図を書くときにメカニズムをしっかり整理することが大切!

浮腫の観察のコツ

脛骨前面の末梢側1/3付近または足背を母指で5ミリほど約10秒圧迫し、→圧痕を把握する。

指導者ナース
指導者ナース

なぜ脛骨前面か足背を圧迫するの?根拠は?

もしこんな風にきかれたら、模範解答は、こんな感じでしょう。

脛骨前面または足背は皮下の軟部組織が少ないため、静水圧がかかりやすく浮腫が著名に出現しやすいからです!

※多くの浮腫は圧痕が残りますが、圧痕の残らない浮腫もあります。

例えば、リンパ浮腫、蜂窩織炎、甲状腺機能低下症に伴う粘液浮腫などは圧痕が残りません。

>>看護実習での正しいバイタルサイン報告の仕方とコツ

<どんな検査をするの>

  • 血液検査:貧血があれば、低栄養による浮腫や慢性腎不全による浮腫が考えられる
  • 血液生化:BUN、Cre→腎機能障害があるかどうかをみる。
  • 心電図、胸部X線:異常がみられる場合、うっ血性心不全が考えられる。
  • 尿検査:尿蛋白+であれば、腎性の浮腫が考えられる。

<なぜ浮腫はよくないのか>

  • 浮腫が悪化すると、細胞組織内の代謝が阻害されるため、全身に悪影響が及ぶ。重要な臓器が障害されると生命にかかわる。
  • 浮腫の悪化により皮膚が障害され褥瘡ができたり、易感染状態になる。

浮腫の看護目標の書き方

浮腫のある患者さんの看護目標の立て方を解説します。

看護目標を書くときは、この画像のテンプレートを参考にしてください。

看護目標の書き方

それでは、実際に浮腫のある患者さんの看護問題について例文を書いていきます。

  1. 浮腫によって困難になったセルフケア行動(実際に受け持ち患者さんが困難になっているセルフケアを書くこと!)が看護者の援助により可能となる。
     
  2. ○○さんが自身が浮腫について自己観察し、セルフケア方法、感染予防行動をとることが出来る。
     
  3. 浮腫による褥瘡の発生機序とリスク、栄養をとることの必要性、体位変換を行うことの必要性について(患者さんの知識や理解度に合わせてどんな説明をするかを考えて書くこと!)理解し、積極的にケアを受けることができる。
     
  4. 利尿薬(実際に予定されている薬名、薬の副作用を書くこと!)の副作用について理解し、副作用症状発現時は看護師へ報告することができる。
     

優先順位の考え方については

>>看護問題の優先順位の考え方にまとめているので参考にしてみてくださいね。

浮腫の看護計画(OP,TP,EP)

個別性の出し方

<つっこまれやすい看護計画の見本>

看護計画で指導者からつっこまれやすい具体例です。

小さく赤字で予想されるつっこみを書いてみます。

<OP>

①浮腫の程度
→どうやって観察するの?

<TP>

①清拭を行い二次的障害を防止する
→具体的にあなたはどんなことをやるの?

<EP>

①飲水制限の必要性を説明する
→これだけだと個別性があるって言えるかな?

おそらくこのまま提出すると

指導者ナース
指導者ナース

浮腫の患者さんみんなに当てはまるよ、これだと。

というつっこみがきます。

ここから個別性を出すためには

  • 清拭は、どんなところに留意して行うのか
  • 受け持ち患者さんに合わせた飲水制限の必要性の説明はどんなものか

を明確に書いていくことがポイントになります。

浮腫の看護計画~個別性のある具体例~

まず、浮腫の評価法にはいろいろなスケールがあるので、スケールを使って観察するのがおすすめです。

非圧痕性浮腫の場合は「深沢変法」があります。

grade0:圧痕・腫脹なし
grade1:圧迫の解除でわずかにくぼみの輪郭がわかる程度で、時に見逃されてしまいそうな圧痕
grade2:圧迫開始時にはっきりしないが、圧迫とともに明らかとなり、解除後に圧痕が残るもの
grade3:圧迫開始時の視診や触診ですでに浮腫が明らかなもので、圧迫解除後に深い圧痕が残るもの
NPE:圧痕を認めないが、腫脹しているもの(non-pitting edema)

深沢変法

↑に挙げたポイントを明確に記述していくことによって、

個別性のある具体的な看護計画を書くことができます。

それでは実際に具体的な例文を書いてみますので、

みなさんが実際に患者さんを受け持ったときや紙上事例で看護過程の展開をするときに参考にしてみてくださいね。

#浮腫

<OP>

①浮腫の部位と程度
(_スケールのグレード、周囲径、左右差、衣類や下着のしわのあと)

<TP>

①ナナエル氏のADLに合わせて部分的に清拭を介助し、ナナエル氏だけでは手の届かない範囲も皮膚と粘膜の清潔保持に努め、浮腫による感染を防止する。

(弱アルカリ性の洗浄剤を用いて、強く摩擦を加えないように留意する。鼠径部、陰部はできるだけ乾燥させる。)

<EP>

ナナエル氏の飲水量が1日500mLであること(どのくらい摂取したかをメモするグラフを用意する)、飲水制限の必要性について説明する。

こんな風に、①バイタルサイン だけで終わらせず

カッコを書いてさらに細かい部分を具体的に記す、という方法で書くと整理しやすいです。

まずは大まかな計画を単語で①バイタル②随伴症状と空欄を作りながら書いて、

あとから空欄にカッコを書き足して具体的にしていく、というやり方です。

浮腫の看護計画の例文公開

実習記録の見本例文PDF版から、高血圧の看護計画の一部を公開します。

標準看護計画から、具体的にどんなポイントで個別性を出していくか、

また実際にどんなポイントが看護師からつっこまれやすいのか、は赤字と右側の欄にまとめています。

浮腫 看護計画OP
浮腫の看護計画TP
浮腫の看護計画EP

この看護計画の見本全体はPDFファイルダウンロード版にまとめています。

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