看護過程の中で、看護診断を行い、看護問題の抽出を行った後、看護計画を立案します!
(他の看護過程の記録の書き方は過去に説明しているので参考にしてみてくださいね。)
さて、看護計画では、看護目標を設定して、それを達成するためにどんな看護ケアを行っていくか具体的に書いていきます。
しかし「看護目標立てても毎回やり直しになる」「期待される成果を複数挙げるのは難しくて時間がかかる」と感じている看護学生さんも多いでしょう。
この記事では看護目標(期待される成果)の立て方に悩む看護学生さん向けに、看護目標の立て方のポイントや参考にできる例文を紹介します。
看護目標・期待される成果とは
看護目標ってなんだっけ
期待される結果(看護目標)とは、看護をすることによって期待される患者の望ましい状態を表すものです。
看護介入によって、看護問題を引き起こしている原因や、リスク因子がどのような状態になるのが望ましいかを患者と患者の家族と共に設定します。
患者と患者の家族の希望を踏まえて、実現可能な目標を設定するので、
看護目標は看護学生・看護師が勝手に考えて決めるのではなく、患者とその家族の要望を聞き、確認したうえで実現可能な範囲で設定します!
看護目標と期待される結果の違い
看護目標は看護師を主体とした目標、
期待される成果(患者目標)は患者を主体とした目標と分けている場合もあります。
看護目標(期待される結果)を書く時のポイント
看護目標を設定することで、看護学生が行う看護の質が向上し、患者に適切なケアを提供することができるだけでなく、患者も同じ方向を向いて健康回復に参加することができます。
ただいざ目標を立てようとしても、何から取り掛かり始めれば良いかわからない看護学生も多いでしょう。
期待される結果を10個挙げるという課題が出たのですが、全く終わりません
という相談をもらうことがよくあります。
ということで、
ここからは看護目標(期待される成果)の立て方について詳しく解説します。
看護目標設定のポイントや使える例文も載せるので参考にしてみてください。
目標の主語は患者と家族にする
ここは看護学生独自のポイントです。いままで目標を立てるといったら基本的に自分を主語にしか書いた事がないと思います。
しかし、看護過程における「看護目標」では、目標の主語が患者さんと家族になります。
十分なアセスメントをする
目標を定める時に、アセスメントが基盤となります。
同じ病気なら同じ看護問題が上がるでしょ?アセスメントいらなくない?
たしかに看護問題は、疾患の症状や薬物による副作用などによって同じような問題が上がることも多いです。しかし、患者の社会的側面、精神的側面や生活背景など個別性を踏まえると、患者ごとに問題の原因因子は異なります。当然看護問題、看護目標は患者によって異なるものになります。
患者に合わせた独自の看護問題を抽出し、それぞれに合わせた看護目標を立てるためにアセスメントを行うわけです。
アセスメントが適切にできないと個別性がない看護目標になります。
看護目標を立てる時は十分なアセスメントが必要不可欠ってことですね。
ゆえに、「この看護目標個別性がないよ」と言われたらアセスメントを見直すのがいいでしょう。
疾患による症状や使用している薬による副作用で起こる事柄だけに対する看護問題、看護目標になっていたら、
その患者独自の情報の組み込みが不足しているってことです。
そのため、やるべき事は、患者の生活背景や考え方、心理側面社会側面などの多側面から情報収集と分析ということです。
看護目標は具体的に書く
患者がいつまでにどの程度何を行うか具体的に書きます。
具体的って言われてもどう書けばいいか分からないです
たしかに「具体的に書く」って難しいですよね。
期限+主語+方法+程度+動詞
この5つをしっかり組み込むと具体的に書くことができます!
患者とその家族の希望を確認する
目標は、看護師や看護学生が勝手に考えて立てるのではなく、患者さん自身がどうしたいのか、どうなりたいのかという希望が大事です。
患者と一緒に目標を設定することで、患者と家族が主体的に健康状態の回復に参加することができるからです!!
そして、患者やご家族の希望を確認するためには、場面に合わせてコミュニケーションをとります。
どうやったら自然に患者さんの希望を確認できるの?
そうですね。例えば
「この度_で入院されたんですね。いまは_という状況で_という治療をされていますが、例えばナナエルさんはどういう状態になりたいというような希望はありますか?その希望に向かってできる限り私もお手伝いしたいと考えています」というような形でお話してみてもいいかもしれません。
患者さん自身で目標を設定するのが難しい場合は、患者さんの家族や患者さんのキーパーソンと一緒に目標を考えていきます。
実現可能な範囲で目標を設定する
実現可能な範囲で目標設定ってどういうこと?
例えば患者が「後遺症として麻痺があるけど入院前と同じくらいになりたい」という希望を言ったけど、医師の見立てでは実現が難しいとします。
その場合は「まずは2週間で自力で起き上がるという事を目標にしていきたいと思いますが、どうでしょうか。」と提案するのもいいでしょう。
明らかに難しい場合でも「それは無理です」と言い切るような言い方は避けましょう。
患者の希望を真っ向から否定するのではなく、患者さん自身が後遺症をもちながら生きていくというイメージを持つことができるように、一緒に目標を考えていきます!
【簡単】看護目標の書き方5ステップ
看護目標を簡単に書く手順を5ステップにまとめてみました。
(1)期限を書く
(2)主語(患者さんまたは患者家族)を書く
(3)方法を書く(ない場合もある)
(4)どの程度を目標にするか書く
(5)動詞を書く
この5つのステップで、看護問題を書くことが出来ます。
看護目標が具体的に書けるテンプレート
こんな感じで簡単な表を作成すると、看護目標を具体的に書きやすいので
イメージがつかめない看護学生さんは表を使ってみて下さい。
♥期限 | いつまで? | 2月6日までに |
♥主語 | 誰が?? | ナナエル氏が |
♥方法 | どのように? | 歩行器を使って |
♥程度 | どのくらい | 病棟内を1周 |
♥動詞 | 何をできる | 歩行することができる |
この表を活用すれば、必要な情報を盛り込みながら看護目標を書くことができます。
【マネOK!】評価しやすい動詞の一覧表
「Aさんが転倒の危険性を理解できる」という文章を期待される成果や看護目標に挙げる看護学生さんが多いです。しかし、この書き方だと患者さんが危険性を理解できたのかナースが判断をするのは困難です。
前に「患者さんが転倒のリスクを理解できる」を目標にあげたけど、
「このままじゃ評価できないでしょ」って言われたことあります…
じゃあ転倒の危険性を理解してもらいたい時は、どんな看護目標を立てればいいの?
例えば、「危険性について述べる事ができる」なら簡単に評価できます。
目標を立てるという事は、それが達成できたかどうか評価する事も意識する必要があります。
実際に臨床では、複数のナースで患者をみるので、担当ナースが立てた看護目標を見て、どのナースも同じ目標に向かって看護を行い、目標に到達できているか、どのナースも同じように評価できる必要があります。
このような感じで、評価できる動詞一覧をまとめておくと
目標を考えるときにとても便利なのでおすすめです。
看護目標の具体的な例文
↑にも、看護目標の例文を書きましたが、また別の例文も書いていきます。
ぜひ参考にしてくださいね。