看護実習の事前学習は必要?
実習期間が始まるととにかくやることが増えて時間が足りなくなるので、前もってしっかり準備しておくことが大切です。
~全実習領域共通で準備すること~
解剖生理学の復習
人体の構造・機能の不具合に対して治療、看護が行われるわけですから、解剖生理を知らずに実習は行えません。
疾患の理解をするためには、まず正常な機能は何か?を理解することが重要です。
解剖生理学の復習のポイントは
(1) 構造と機能をまとめる
(2) 身体のどの位置にあるのか
(3) イラストを描く
実習前は、 実習先の病棟の特徴に合わせて解剖生理のノートや資料を整理し直し、復習しましょう。
受持つであろう患者さんの疾患や既往歴を事前に把握または予測できる場合には、 その疾患に関 連する内容から重点的に整理しておきます。
資料を集めて、必ず目を通しておきましょう。どこに何が書いてある、と把握しておくだけでも実習中はとても役立ちますよ。
病みえを用意しておく看護学生は多いです!!
疾患の理解
実習する科が決まったら、その科の代表的な疾患について下記をまとめましょう
(1) 疾患の原因
(2) 疾患の機序
(3) 必要な検査
(4) 主な症状
(5) 代表的な治療法
もし事前に患者さんの疾患や既往がわかれば、その疾患に関する内容を重点的に勉強しておくのがオススメです!!
看護過程の復習
看護実習中の時間がない中で、「アセスメントどうやって書くんだっけ」と悩む時間は勿体ないので事前に看護過程の進め方を総復習しておくことがおすすめです。
看護技術の練習
基本的な看護技術の資料を作成、整理しておき、 実習では患者さんに合わせた方法を加筆していくと効果的です。
看護実習中は、自分で計画した看護技術だけでなく、急に同行していたナースから「これやってくれる?」と言われる事があります。そのため、看護学校で演習してきた看護技術を一通りおさらいしておくことが大切です。
看護実習でよく実践する、おさえておくといい看護技術は
(1) バイタルサイン測定(必ず)
(2) 環境整備
(3) 清拭
(4) 洗髪
(5) 足浴、手浴
(6) 寝衣交換
(7) 陰部洗浄
(8) 移乗、移送
(9) 口腔ケア
(10) 食事介助
これらに対して
① 目的
② 必要物品
③ 手順と根拠、留意点
をまとめておきましょう。
とくに、根拠と数値(温度など)はよくナースからつっこまれやすいので要チェックです!
基本をまとめてから、あとで看護師に指摘された内容や、患者さんに合わせてどんな風に個別性を出すかを書き加えられるように、スペースを十分にとりながら書くのがおすすめです!
実技はひたすら練習すること!
流れはわかっていても、いざ病院という場で、患者や看護師の前で実践するとなると緊張してうまくいかない、、、ということがありがちです。
実習前に自宅でぬいぐるみ相手に、家族相手に、学校で友達相手に実施してくださいね。練習あるのみです!
看護技術の勉強法については、下の記事で詳しくまとめています。
実習の目的&目標の確認
ここは盲点になりがちですが、実習の目的、目標を実習要綱で確認しておくこと。
実習は基礎看護学~老年実習、小児実習、精神実習など領域が多岐にわたり、それぞれの実習によって目標も目的も異なります。
実習目標をしっかり把握しておくことで、その実習で何をどう学ぶかを明確にできるだけでなく、看護実習が始まってから「実習の目標」を聞かれたときにも、「実習を終えて」レポートを書くときにも使えます。
実習要綱がくばられたら蛍光ペンを持って、「実習の目的」「実習の目標」にハイライトしましょう。
実習の前日にやること
実習の前日に必ずやってほしいことも「事前学習」としてまとめます。
1,実習の集合時間
2,集合場所
3,実習先までの行き方
4,1日の予定
5,持ち物最終チェック
※1日目の行動目標&行動計画をやり忘れないように!!
6,何かあった時の緊急連絡先
カンファレンスのネタを考える
実習前にカンファレンスのネタを準備しておくのがおすすめです。
カンファレンス苦手なんです…。焦るし…。
友達の発表を聞いたり、先輩からどんなテーマで話したか聞いたりして使えそうなネタをどんどんまとめてメモ!
実習前にカンファレンスのネタを準備するための方法
- 実習メンバーの発表を聞く: 実習メンバーの発表を積極的に聞いてみましょう。話している内容やトピックのアイデアを得ることができます。
- 先輩の経験を聞く: 先輩にどんなテーマでカンファレンスを行ったかを尋ねてみましょう。先輩がうまくいったトピックやアイデアを参考にするのはとてもおすすめです。
- 自分の困った場面をメモしておく: 自分が実習していて、患者のケアに困った場面に着目し、それに関連したトピックを考えてみましょう。カンファレンスで得た意見をすぐに実習に生かせますし、実践的なアプローチは評価される可能性も高いです。たくさんメモを取っておいて、整理しておくことで、後で参照しやすいです!
検査についてまとめる
✅ 血液検査について
正常値・異常値、異常値の時にどんなことが考えられるか
✅ バイタルサインの基準値
血圧、脈拍、呼吸数、体温などの正常範囲、異常な時にどんなことが考えられるか?をまとめると、実習で役立ちます。
✅ 尿検査の基準値
尿の色、比重、蛋白、糖、潜血などの基準値と、異常時にどんなことが考えられるかを理解しておくことが重要です。
✅ 身体測定値
身長、体重、BMIの正常値と、健康リスクについて把握しましょう。
✅ 酸塩基平衡
pH、CO2、HCO3-などの血液ガス解析の基準値と、アシドーシスやアルカローシスの症状について学びましょう。(国試で苦戦する学生さんが多いので今からやっておくと国試対策にもなります!!)
他にやっておくといいこと(おまけ)
他にやっておくと良い事として、①付箋はり、②机回りの整理があります。
看護実習中はいろんな参考書や教科書を使って調べものをしながら記録を書くため、
あらかじめ、使いそうな教科書は出しておき、開きそうなページには付箋をはっておくことがオススメです。
また、上にも書いた通り実習中は記録も教科書も机いっぱいに広げるので、しっかり机回りを整理しておきましょう。
実習領域別で予習しておくことチェックリスト
1, 基礎看護実習+全実習共通
・基礎看護技術のおさらい(環境整備やバイタル測定、足浴や手浴など)
2, 急性期看護学実習
・ムーアの分類・術前準備・術後合併症
3, 慢性期看護学実習
・行動変容のステージモデル・セルフマネジメント支援
4, 老年看護学実習
・老年期の発達課題・加齢性の変化・廃用症候群とは何か、予防法
・施設の種類と特徴(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など)
5, 小児看護学実習
・各段階の成長と発達の特徴・成長段階、発達の評価(ローレル指数、カウプ指数、パーセンタイル値)
・バイタルサイン(基準値、測定法、成人との違い)
・小児期に多い代表疾患(気管支喘息、ネフローゼ症候群、気管支炎・肺炎、川崎病、ロタウイルスやノロウイルスなどの消化器感染症)
6, 母性看護学実習
・正常な妊婦の経過(妊婦の健康状態・胎児の発育)
・正常な分娩の経過(分娩経過、家族への支援)
・正常な産褥の経過(身体回復の過程と援助、母子相互作用)
・新生児の特徴と看護
7, 精神看護学実習
・入院形態
・精神科で受け持つことが多い代表疾患(統合失調症、感情障害、アルコール依存症)
・おもな治療法(薬物療法、作業療法、精神療法、SST、自助グループ)
8, 在宅看護学実習
・介護保険・医療保険
・介護保険の居宅サービス、介護予防サービス、介護予防ケアマネジメント
・訪問看護ステーション
・地域包括支援センター
・在宅看護技術(在宅酸素療法、在宅人工呼吸療法、服薬管理、在宅経管栄養法など)
【時間がない人向け】看護実習前に最低限やっておくべき事
実習前といっても、看護学生は常に課題にテストに大忙しですので、ほとんど事前学習に時間が割けないのも実情です。
ひとまず実習先が確定したら最低限以下の3つだけはバーッと予習しておくのもおすすめです。
(1)実習病棟は何科?
→その科で扱う、解剖生理&基本的な機能
正常を知ってこそ異常が理解できるのでやはり解剖生理の復習はマストです。
(2)実習病棟の代表疾患は?
→疾患名、病態生理、検査、治療法、看護
(3)年齢層は
→身体、心理、社会的特徴、発達課題
成人の看護と老年の看護はやはり異なりますので、年齢的特徴もざっくり復習しておくのがおすすめ…!