多くの看護学生が悩む『SOAPの書き方』を紹介します。
看護実習記録のSOAPとはこんな感じのものです↓
看護実習記録の書き方
看護実習では「実習記録用紙」が配布されて、それぞれの様式に合わせて看護過程を展開していきます。
看護過程ってなんだっけ?
看護過程は次の6つのプロセスに分かれます。
- アセスメント、情報の分析
- 看護問題抽出、看護診断
- 看護計画の立案
- 実施
- 評価
この5つの一連のプロセスを実施、記録することが「看護過程の展開」です。
看護実習記録ってどんなの?
実習記録用紙の種類としては以下のものがあります。
✏実習記録用紙の種類
- データベース(患者情報用紙)・アセスメント用紙
患者の情報を整理して問題の所在を明らかにする - 関連図
データ同士のつながりを描くことで患者の全体像を把握する - 看護問題リスト・期待される結果
アセスメントの結果、患者の健康上の課題と優先順位、実現可能な目標を明確化する - 看護計画
期待される結果に達するための具体策をOP,TP,EPに分けて立てる - 行動計画
実習中の毎日の目標とスケジュールを立て、実習後に振り返りをする - 経過記録
自分の介入と、患者の反応、情報をSOAP形式で書き、経過を把握する - サマリー
患者の治療経過や介入後の状態変化、目標の達成状況を要約して残された問題を明らかにする
SOAPって?具体例は?
看護実習で、立案した看護問題について、看護学生が介入した結果を記録する形の一つがSOAPです。
SOAPは主観的情報のS、客観的情報のO、アセスメントのA、計画のPに分類されます。
SOAPは臨床に出て、ナースになってからもずーっと使います。
SOAPで記録したことは法的文書となり、自分が何を考えて何をしたかを証明する文書にもなります。つまり医療訴訟に発展した場合などに、看護師自身を守るものとなるのです。
それでは、書き方や方法を是非学んでいきましょう。
SOAPの書き方の原則
- 主観的情報を書く【S】
- 客観的情報を書く【O】
※SとOには情報から判断した項目は一切記載しない! - アセスメントを書く【A】
※情報から考えた事を書くのはここ!! - 今後の方針を書く【P】
それでは、各ステップをさらに細かく見ていきましょう。
看護記録のSOAPの書き方4ステップ
ステップ1 S情報を書く。
最初に記載する情報の「S」は主観的情報といいます。
すなわち、患者が訴えていること。
例えば、何かのオペ後、受け持ちの患者さんが
「ううぅ…痛い。こんなんじゃ今日は眠れないよ」
と、顔をしかめて、苦しそうにしながら、手術部位を指して話したとします。すると、
「ううぅ…痛い。こんなんじゃ今日は眠れないよ」がSになります。
手術部位を指して。苦しそうに。顔をしかめて。このあたりの情報はすべて、S情報には含まれないので、SではなくOに書きます。
このように、SとOをキッパリ分けること。がまずは第一ポイント。
患者さんが話した言葉以外にも、筆談や手話などの非言語コミュニケーションもS情報に含まれます。
看護の対象は患者の家族も含まれるので、療養に関係することであれば患者家族の訴えもS情報に含まれます。
ステップ2 O情報を書く。
O情報は、患者さんが直接訴えた言葉のS情報以外で、
看護学生のみなさんが実際に見たり、聞いたりした情報がすべてO情報です。
看護学生さん自身が、見たもの、触れたもの、測定したデータなど患者さんが訴えた以外のことを端的にあげていくの重要です。
ダメな例<O情報>疼痛ややあり、前向きに治療方針受け止めている。
↑これは「ダメ」って言われて書き直しになりました。
↓これで最終OKをもらいました。
OKな例<O情報>腹部痛NRS6程度、病状説明に対し熱心にメモを取っている姿勢あり。
なんでですか?
O情報とアセスメントを混同して記載してしまっているからですね。非常によく見かける間違いです。
→「疼痛ややあり」は看護師の判断なので客観的情報ではない
→「前向きに受け止めている」も看護師の判断なのでO情報ではない
何をもって「疼痛ややあり」「前向きに受け止めている」と判断したのか、判断基準となる情報をO情報として記載します!
例えば以下のような情報も、客観的情報になります。
ここで全ての情報を書き連ねてはダメなのです。(ここが難しいところですよね…)
考えられる問題に関連する情報を、取捨選択する必要があります。
沢山の情報をあれこれ書くと、アセスメントもぼやっとしてしまい、何が書きたいのかがわからなくなったり、問題がわかりにくくなったりと、間違える要因になってしまうからです。
そのためにはどうしたらいいか?
考えられる問題に関する情報を選んで記載できているかになります。
これが慣れないと難しくなります。よく看護学生さんから受ける相談で以下のものがあります。
頑張って看護実習の記録を書いても、
ここにこの情報を書いた根拠は?
と言われます。どうしたらいいですか。
という質問。
患者さんの看護問題がわかってないままO情報を書いたり、とにかく観察した情報、みたまんますべてをずらっと書き連ねてしまうと、無駄な情報だらけになってしまうのです…。
必要な情報をセレクトして、ターゲットを絞ってO情報を書くこと!!
コツとしては、最初に看護問題をある程度、頭にえがいた状態にして、組み立てるイメージで統一性を持たせる。
これってそこまで難しいことじゃなくて、
言動や、見た感じから「転倒しそうで危ないな…」と思ったら、転倒の原因因子にまつわるデータをO情報に書くだけ。
さて、ここまでSとOの書き方を説明してきました。
続いては苦手な看護学生さんが多いアセスメントについて解説していきます。
ステップ3 アセスメントを書く
看護におけるアセスメントとは
<何のためにやるの?>
患者の状態を正しく理解し、分析することで問題を明らかにするため。
<どのタイミングでやるの?>
まず、看護学生は受け持った段階でアセスメントして、看護計画を立案します。
また、看護計画を立てた後も、常に患者の訴えや状態の新たなデータを補足して繰り返しアセスメントを行います。そして、アセスメントの結果、場合によって看護計画を修正します。
<どうやって書くの?>
ステップ1:必要な情報(SデータとOデータ)を収集する
ステップ2:現状の整理、原因の分析をする
ステップ3:③このままの状態が続いたらどうなるか今後の可能性やリスクを予測する
<具体例が見たいよ>
ステップ1:必要な情報(SデータとOデータ)を収集する
S情報①「今日は苦しくないよ。乾いた咳がでたくらいかな」
O情報①T:36℃ P:70回/分 R:18回/分 喘鳴(-)、努力呼吸(-)、肺雑なくair入り良好。
O情報②笑顔みられ、声のトーン明るく、趣味のクロスワードをして過ごす。
ステップ2:現状の整理、原因の分析をする
①O情報①O情報②より、バイタルサイン平常時と変わりなく、呼吸状態、患者の表情、言動から喘息症状は軽快していると考えられる。S情報より、乾いた咳がみられていることから喘息発作後であり気道過敏性が亢進していると考えられる。
ステップ3:③このままの状態が続いたらどうなるか今後の可能性やリスクを予測する
アレルゲン曝露により気道炎症が慢性化することで気道のリモデリングを起こすリスクがある。
そのため、アレルゲン暴露を少なくし、処方薬を使用して気道炎症をコントロールすること、継続した喘鳴や咳嗽など呼吸状態の観察が必要である。
SOAPのA、アセスメントでは自分が設定した「期待される成果」の到達具合を評価する。
患者の言動と、言葉以外のすべての情報を元になにが問題だと思われるか?なにが問題ないと思われるか?を、言葉にしていく。
情報を分析し、解決すべき課題を客観的に評価することが、合併症などの初期症状を発見し、症状の進行を防ぐことにつながるのです。
ステップ4 プランを書く。
アセスメントの結果からこの患者さんに必要なケアを簡潔に記載します。
などが今回は挙げられます。
看護師として自分が行うべき内容、今後注意してみていく内容を簡潔に記載するようにしましょう。
臨床でも、Pに「計画継続」や「PlanDo」のみ記載してある記録をよく見かけるのですが、
何を継続し、何を実行するのか見た人がわからず、看護過程上好ましくない書き方ですので避けるようにしましょう。
1つずつの書き方を見てから読むと、書ける気がしてきた!!
一覧で見ると難しく感じるけど、
1つずつのステップを整理しながら丁寧に書いていけばしっかり書けるから安心してくださいね。