看護におけるアセスメントとは
アセスメントとは、「客観的な分析」という意味で、看護過程の1プロセスです。
患者の身体的、心理的、社会的状態について情報収集して課題を分析し、必要なケア内容を明確化する目的でおこないます。
アセスメントのやり方を一言で説明すると、
S情報(患者の発言や言葉のみ)とO情報(観察や検査から得られた事実)を整理し、さまざまな文献を使用して根拠を調べながら分析する!
という感じです。
では、実際にアセスメントを解説していきます。
アセスメントの書き方
アセスメントする前に、情報収集
アセスメントとは、患者本人や家族、カルテからじょうほうを収集して、看護の視点で分析していくことでした。
そのため、アセスメントの前に情報収集をする必要があります。
情報は、主観的情報(S情報)と客観的情報(O情報)に分けて時系列に収集します。
情報収集の仕方は、ななえるまとめノートにテンプレートを記載しているため、苦手な方は参考にしてみてくださいね。
アセスメントのすすめ方簡単ステップ
アセスメントは以下のようなステップを踏んで行います。
<①原因>分析するために必要な情報をピックアップし現状をまとめたうえで、それらの原因・誘因は何か?を書く
<②予測>その状態が継続した場合はどのようなことが予測されるか?を書く。
<③看護>1、2を踏まえて今後はどのような看護をしていく必要があるか?を書く。
よくある看護学生さんの看護過程の例で、
情報はピックアップしてあるのに、アセスメントにその情報を使っていない
という状態に陥っているのを見かけます。
情報を書くなら、アセスメントに使う。アセスメントに使わないなら情報として挙げない。アセスメントを書きながら、整合性があるかどうかをチェックしてみましょう!
アセスメントのテンプレート
<アセスメントする項目>については、
(情報番号1)、(情報番号2)より、(理由)だから_という状態であると考えられる。
これにより、<項目>は(未充足/充足または不適切/適切)である。
(このままの状態が続くと_というリスクがある)ため今後は_というケアをしていく必要がある。
最後の「_というリスクがあるため_をしていく必要がある」を書くかどうかは、看護師によって好みがあります。目的はいまの現状を正しく分析し、必要なケアを明確化することなのでここは学校(担当教員)の好みに合わせて書くのが一番いいです。
アセスメントの具体的な例文
ナナエル氏70代後半、<排泄項目>については、<S情報①たまにおなかが張るね>、<O情報①3日に1回排便(硬便)入院前は1~2日1回、O情報②日中はベッド上で過ごす、O情報③腸蠕動音微弱>
より、
加齢による筋力低下と、入院による運動量低下によって蠕動運動が低下し、大腸の機能が低下している事が理由となって、
現時点で薬服用により3日に1回硬便がみられており、腹部膨満感あり、腸蠕動音が微弱であるもことから、便が腸内に停滞していて便秘リスク状態にあると考えられる。
これにより、<排泄状況>については<不適切>である。
そのため、今後は運動量不足の改善のために病棟内歩行を取り入れ、また、活動動作の中でご自身でできる動作は安全に自分で行えるように環境を整えることでナナエル氏の活動量増加を図っていくケアをする。
よくあるアセスメントのダメな例
個別性のないアセスメント
正常か異常かの判断の基準は、患者によって異なります。
そのため、
体温37.5度なので発熱していると考えられます。
というのは、個別性がないアセスメントということになります。
体温は普段から低めの人もいたり高めの人もいたりと、傾向があります。
そのため、単にその時の値と基準値を比較して判断するのではなく、
日内変動や、入院中の他の日の値、入院前の値を総合して判断する必要があります。
具体性のないアセスメント
下の画像に挙げた例では、アセスメントに何を書くのかは理解できているという点で
アセスメントの基盤は出来ているのですが、このままですと、指導者看護師や、担当教員から
「具体性がない」
と言われてしまうアセスメントになっています。
腰痛と不安、2つの原因によってセルフケア不足になっている、だけではなく
A氏の場合は何によって腰痛が起きているのか?
A氏は何に不安を感じているのか?
常に「A氏の場合は?」を考えてA氏に特化した理由を追求していくことが大切。
個別性があり具体的なアセスメント
看護学生さんが自分でアセスメントを書いた後に、
必要な内容が、正しい順番で書かれているかのチェック表を書いてみました。
このチェックリストで確認しながら、アセスメントを書いていくとこのようになります。
チェックリストの番号順に、必要な内容が盛り込まれているかを確認しましょう。
赤の部分は、看護実習で患者さんを観察したことをベースに書いていきます。
続いて青の部分。
原因分析の部分は、病態生理が含まれることも多いので、「臨床医学」とか「成人看護学」といった授業の教科書・資料・参考書を使いながら書いていきます。
緑の部分は、今後の方針について。
赤と青でしっかり分析したことをふまえて、今後の明確な方向性を提示していくということです。
どうかな、まだまだ難しく感じるとは思うのですが、
少しでも参考になれば嬉しいです。